ボートによるアプローチ(その3)

2019年8月6日

引き続き「水難救助とラフティング」についての記事です。

前回の記事『ボートによるアプローチ(その2)』では、レスキュー現場へのアプローチ方法の一つとして、

「激流対応のボート」を使うという方法 を紹介し、さらにそのボートも幾つかの種類を紹介しました。

最後に紹介したのがラフティングのボート(ラフト)です。

↓こんなものですね♪

ラフトの最大の特徴は、その安定性(限度はありますが・・)と、積載量でしょう。

前回の記事で紹介したダッキー(インフレータブルカヤック/カヌー)と比較すると、見た目にもその差は歴然です。

↓ダッキーとはこちらです

激流の中での安定性、走破性、その積載量、全てにおいてラフトのほうが性能が上なのです。

例えば、ダッキーだったら人を一人しか運べないときでも、ラフトだったらそれ以上の人を乗せることが可能です。

2人とか3人とか、場合によってはそれ以上いけるケースもあるでしょう。

もちろん何人載せられるかは、その漕ぎ手の能力にもよります。

別の言い方をすれば、漕手のボート操船技術の能力に大きく左右されるでしょう。

また現場となる激流の状況によって大きく変わってくることでもあります。

ただ、ラフトは大きい分、ダッキーのほうが小回りはよく出来ます。 また、ラフトだったらそれ自体のサイズが大きすぎて、侵入できない場所にもダッキーだったら、それが可能になるということもあります。

前回でも紹介した上の動画では、実際に私がダッキーを使って、激流の真ん中で立ち往生してしまったボートのところまでアプローチしたのですが、これがもし、サイズの大きいラフトでのアプローチとなると、ボートを停める岩の後ろのスペースが狭いため、かなり難しいものとなったでしょう。

では、こちらの現場ではどうでしょうか?? 最近何度も使わせてもらっている映像です。


henrylindnerさんのサイトより引用させて頂いています)

こちらのケースでは、ダッキーでもラフトでも現場にアプローチすることは可能でしょう。
(勿論、それ相応のレベルの漕ぎ手が必要です!!)

しかし、問題は「アプローチした後」です。

例えば、「ボートに乗せてこの二人を川岸まで運ぶ」という作戦を立てた場合、ダッキーでは少し不安定でしょう。 もしかしたら転覆してしまいそのまま下流に流されてしまうかもしれません。

これがラフトであったなら、ダッキーに比べてより安定した状態で川岸に運ぶという事が出来るのです。

もちろん転覆する可能性は0ではないです。

しかし、その確率はダッキーにくらべてかなり低いものとなるのではないでしょうか。

加えて、ラフトでは、「ボートから現場への乗り降り」というものが、他の小さいボートに比べて、より簡単になるのです。

すごく地味な要素ですが、激流でのレスキュー現場においては、すごく重要な要素になってくるものです!

いざ、現場にたどり着いたはいいが、その現場(岩の上など・・etc)にボートから移動できなければ、何の意味もありません(他に特別な目的がない限り)

例えば、激流対応の「ホワイトウォーターカヤック」だったら、激流までのアプローチを考えれば、それが1番機動力の高いボートとなります(漕ぎ手の能力にもよりますが)

$ラフティング道
(オーストラリアでカヤック三昧だった私♪)

しかし、このカヤックという乗り物は、その乗り降り自体の動作が、ラフトに比べると大変やりにくいのです。

カヤックであったために、現場の近く(例えば大きな岩)にたどり着いたはいいが、その岩に登れないといったケースは十分に考えられるのです。

要は適材適所ということですね。

それぞれに長所、短所がありますが、最初に書いたように、ラフト(ラフティングのボート)というものは、その安定性、積載量から考えても、すぐれたレスキューの道具となることは間違いないでしょう。

次回以降では、レスキュー現場においてボートを使うことの利点やリスクなどをもう少し詳しく説明していきたいと思います。

<→続きはこちらです>

ご注意:私は「レスキュー3」などの水難救助インストラクターではありません。これらの記事はあくまで、私自身の実際の経験、そこから得たものから書いているものです。