え?ここでハイファイブ・・・!?
オーストラリア時代の回想記です♪(⇒過去記事はこちらです)
前回の続きです(⇒前回の記事はこちらです「ショットガン」)
いよいよラフティングのガイド(リバーガイド)になるための試験、「ショットガン」が始まりました!
私はこの試験に合格し、オーストラリアでリバーガイドとして働く事を夢見て、この地にやってきたのです。
ついに、その夢が実現する日がやってきたのです♪
ヨーロッパからのお客さんもいい感じで漕いでくれています。
私の指示に対する反応も問題ありません。
(ピーターとトレーニング時代の私です)
私は心の中で、
「このぐらい漕げるのであれば大丈夫! 今日は余裕だ!」
「普通にガイドしていれば合格は間違いない!」
とさえ思っていました。
午前中の前半部は問題なく過ぎていきます。
そして、いよいよタリー川の最難関の一つと言っていい「シアター」という激流にやってきました。
このシアターという激流は、全長約100mの区間に、ガイドが7人くらいもレスキューロープを持って岩の上に待機しているのです!
それほどまでにしっかりとセイフティーを行う激流というのは、ラフティングツアーを行っている川では世界でも稀でしょう。
それほど「危ない場所」であるということなのです。
シアターは大きく分けて4つのセクションに分かれていて、それぞれ
「ニンジャシュート」、「バーズネスト」、「スケイル・オブ・ジャスティス」、「フルストップ」となっています。
最初の入り口でもある「ニンジャシュート」では入り口の落ち込みは両側が岩に挟まれていて、幅が大変狭く、ボートをかなり斜めの状態に傾けて、そこの狭い間を下っていく作戦でした。
そうしなければ、ボートは入り口を抜けることは出来ないのです。
具体的には、
1、最初にお客さんをボートの中にしゃがませて、そのまま一旦右に傾いてもらいます。
2、するとボートは大きく傾き、入り口の岩の間に入っていくので、その瞬間、今度は逆に左に傾いてもううのです(これが遅いと転覆します)
3、上手くいけば、ボートは斜めに傾いた状態で、上手く岩の間をすり抜け、そのまま無事に元の状態に戻るのです。
私は入念にお客さんに作戦を伝え、何度か練習しました。
いい感じです♪
いよいよ私のボートの番がやってきました。
シアターに突入です!
「Get down!(しゃがんで)」
ボートはニンジャシュートに徐々に近づきます。
「Lean right!(右に傾いて)」
入り口にはいる少し前に指示を出し、ボートを傾かせる準備をさせます。
そして、ボートがニンジャシュートに入った途端、大きく傾き始めました!
その瞬間・・
「Lean left!(左に傾いて)」
ボートがそれ以上傾いて転覆しないよう、お客さんを逆方向に傾かせます!
みんな良い反応です!
ボートは無事にニンジャシュートを抜けました!!
まずは最初の難関を無事に通過です!
さあ、ここからがまた大切です!
すぐに迫ってくる「バーズネスト」に向けて、ボートをしっかりと操作しなければいけません。
その間は約10メートル。そんなに余裕があるわけではありません。
「Back on the job!(元に戻って)」
私はすぐに指示を出し、しゃがんでいたお客さんを元に戻させました。すぐに漕いでもらう必要があったからです。
そして、「Forward Paddle(前漕ぎ)」を言おうとしたその瞬間。
なんとお客さんの一人が
「High Five!!(ハイファイブ)」と叫びだしたのです!
「High Five」とは友達同士などでよく行う、手を上げてお互いにタッチすることですが、ラフティングでも「手」のかわりに「パドル」を高く上げて行うのです。
↓こんな感じです
通常は激流を上手く下り終えたあとなどに行うのですが・・・。
この時は、そのお客さんは「ニンジャシュート」を上手く通り抜けたことで興奮してしまったのでしょう・・
その「ハイファイブ」の声に他の人たちもつられてしまい、全員で「ハイファイブ」をやりはじめてしまったのです!
私がお客さんに漕いでもらいたい、まさにそのタイミングでの、まさかの「ハイファイブ」でした!
私の心の中、
「マジか!!このタイミングで!! マズイ!!」
私は必死に、
「No! No! Paddle!! Paddle!!(違う!違う!漕いで、漕いで!!」
と叫びました!
彼らは
「ん??何??」
って感じで私の方を見てます・・・
そんな間にもボートは、次の「バーズネスト」の「いってはいけない場所」に向かって流されていきます!!
そんなところに流されてしまっては「ショットガン失敗」は明らかです!
絶体絶命です!!
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