え?ここでハイファイブ・・・!?

2019年7月31日

オーストラリア時代の回想記です♪(⇒過去記事はこちらです)

前回の続きです(⇒前回の記事はこちらです「ショットガン」)

いよいよラフティングのガイド(リバーガイド)になるための試験、「ショットガン」が始まりました!

私はこの試験に合格し、オーストラリアでリバーガイドとして働く事を夢見て、この地にやってきたのです。

ついに、その夢が実現する日がやってきたのです♪

ヨーロッパからのお客さんもいい感じで漕いでくれています。

私の指示に対する反応も問題ありません。

(ピーターとトレーニング時代の私です)

私は心の中で、

「このぐらい漕げるのであれば大丈夫! 今日は余裕だ!」

「普通にガイドしていれば合格は間違いない!」

とさえ思っていました。

午前中の前半部は問題なく過ぎていきます。

そして、いよいよタリー川の最難関の一つと言っていい「シアター」という激流にやってきました。

このシアターという激流は、全長約100mの区間に、ガイドが7人くらいもレスキューロープを持って岩の上に待機しているのです!

それほどまでにしっかりとセイフティーを行う激流というのは、ラフティングツアーを行っている川では世界でも稀でしょう。

それほど「危ない場所」であるということなのです。

シアターは大きく分けて4つのセクションに分かれていて、それぞれ

「ニンジャシュート」、「バーズネスト」、「スケイル・オブ・ジャスティス」、「フルストップ」となっています。

最初の入り口でもある「ニンジャシュート」では入り口の落ち込みは両側が岩に挟まれていて、幅が大変狭く、ボートをかなり斜めの状態に傾けて、そこの狭い間を下っていく作戦でした。

そうしなければ、ボートは入り口を抜けることは出来ないのです。

具体的には、

1、最初にお客さんをボートの中にしゃがませて、そのまま一旦右に傾いてもらいます。

2、するとボートは大きく傾き、入り口の岩の間に入っていくので、その瞬間、今度は逆に左に傾いてもううのです(これが遅いと転覆します)

3、上手くいけば、ボートは斜めに傾いた状態で、上手く岩の間をすり抜け、そのまま無事に元の状態に戻るのです。

私は入念にお客さんに作戦を伝え、何度か練習しました。

いい感じです♪

いよいよ私のボートの番がやってきました。

シアターに突入です!

「Get down!(しゃがんで)」

ボートはニンジャシュートに徐々に近づきます。

「Lean right!(右に傾いて)」

入り口にはいる少し前に指示を出し、ボートを傾かせる準備をさせます。

そして、ボートがニンジャシュートに入った途端、大きく傾き始めました!

その瞬間・・

「Lean left!(左に傾いて)」

ボートがそれ以上傾いて転覆しないよう、お客さんを逆方向に傾かせます!

みんな良い反応です!

ボートは無事にニンジャシュートを抜けました!!
まずは最初の難関を無事に通過です!

さあ、ここからがまた大切です!

すぐに迫ってくる「バーズネスト」に向けて、ボートをしっかりと操作しなければいけません。

その間は約10メートル。そんなに余裕があるわけではありません。

「Back on the job!(元に戻って)」

私はすぐに指示を出し、しゃがんでいたお客さんを元に戻させました。すぐに漕いでもらう必要があったからです。

そして、「Forward Paddle(前漕ぎ)」を言おうとしたその瞬間。

なんとお客さんの一人が

「High Five!!(ハイファイブ)」と叫びだしたのです!

「High Five」とは友達同士などでよく行う、手を上げてお互いにタッチすることですが、ラフティングでも「手」のかわりに「パドル」を高く上げて行うのです。

↓こんな感じです


(これは四国、吉野川でのハイファイブです)

通常は激流を上手く下り終えたあとなどに行うのですが・・・。

この時は、そのお客さんは「ニンジャシュート」を上手く通り抜けたことで興奮してしまったのでしょう・・

その「ハイファイブ」の声に他の人たちもつられてしまい、全員で「ハイファイブ」をやりはじめてしまったのです!

私がお客さんに漕いでもらいたい、まさにそのタイミングでの、まさかの「ハイファイブ」でした!

私の心の中、

「マジか!!このタイミングで!! マズイ!!」 

私は必死に、

「No! No! Paddle!! Paddle!!(違う!違う!漕いで、漕いで!!」

と叫びました!

彼らは

「ん??何??」

って感じで私の方を見てます・・・

そんな間にもボートは、次の「バーズネスト」「いってはいけない場所」に向かって流されていきます!!

そんなところに流されてしまっては「ショットガン失敗」は明らかです!

絶体絶命です!!

<→続きはこちらです>