「漕がせること」のリスク~その4~
前回の記事の続きです。(前回⇒「漕がせること」のリスク~その3~ )
ラフティングツアーにおいて、「お客さんにガンガン漕いでもらうスタイル」をするためには、
『その操作には、より繊細な技術と、より強いパワーが必要となってきます』
という事なのですが、
前回から「なぜより強いパワーが必要になってくるのか?」 その理由を説明しています♪
前回でも使用した「2つの異なるスタイル」の動画をもう一度載せます。
(どちらも同じ場所。ほぼ同じ水量。ガイドは私です)
まずは激流の中でも「ガンガン漕ぐスタイル」
そして、「お客さんには、漕がずにロープに掴まってもらうスタイル」
この2つの動画を比較し、前回では、
1,ボートスピードの違い(特に流速と比較しての違い)
2,一つ一つの波に当てる角度の違い
を挙げました。
そして、ボートの角度調整の際に使うパワーにおいても、両者の間には大きな違いがあると書きました。
基本的に「お客さんには、漕がずにロープに掴まってもらう(しゃがんでもらう)スタイル」のときには、自分がボートの角度を変える際に、
自分以外には誰も漕いでいない⇒ボートには自分以外に誰も力を加えていない
という状態なので、比較的容易にボートを動かすことができます。
しかし、「ガンガン漕いでもらうスタイル」の場合、お客さん全員(ほとんど)が漕いでいると同時に角度を変えなければいけないので、
自分以外にも全員が漕いでいる⇒ボートには「大きな力」が働いている!
という状態なので、角度を変える際にはより大きなパワーが必要となってきます。
どれくらい違うのでしょうか??
これは具体的に数値で表すことは難しいのですが、私自身の感覚では、「2倍~3倍くらいのパワーを使っている」という感じです。
実際にはそんなに(2~3倍も)違いはないのかもしれませんが、その時の力感、疲労感的にはそれくらいですね。
例えるなら、「前輪が左右に全く動かない車を、車全体を強引に曲げて進んでいく」ような感じです(笑)
これは穏やかな静水や、単純な流れの中ではそんなに難しくないのですが、複雑な流れの中となると非常に難しく大変な作業となります。
そして、もう一つ。
この2つの動画において(2つの異なるスタイルにおいて)大きく異なってくるものがあります。
これが、この2つの異なるスタイルにおいて最大の違いといってもいいでしょう!
それは、「ライン(ボートの通る道)」です。
一つ目の動画(ガンガン漕ぐスタイル)のほうが、2つ目の動画に比べて、「より直線的なライン」でこの激流を下ってきているのです。
見た感じではそれをハッキリと認識するのはちょっと難しいかもしれませんが・・・。本当に微妙な違いです。
この激流の場合は、要所々々において30~50センチ程度、ボートの通るラインがズレている程度です。
しかし、「その程度」の違いが大きな違いなのです。
「ガンガン漕ぐスタイル」においては、「一つ一つの波にボートがぶつかるときの角度がより細かく繊細なものとなる」と以前の記事で説明しました。
⇒「漕がせること」のリスク~その2~
⇒「漕がせること」のリスク~その3~
これはボートにスピードを付けてるが故に、そして、ボートのラインを自分のコントロール範囲内に置いとくために必然的にそうする必要性があるのですが、それに加えて、
お客さんに激流のなかで漕いでもらうためには、この「直線的なライン」というものが非常に重要となってきます。
人間というものは、「前に!前に!」という意識を持っている時に、「正面方向から自分にぶつかってくる力」には強いものですが、「横からの力」には弱いものです。
これは「漕いでいる人間」に対しても同様なことが言えます。
激流のなかで漕いでいるお客さんは、自分の真正面から向かってくる波には比較的強いのですが、真横方面からの突然の波(=力)にはとても弱く、へたしたら落水という事もありえます。
お客さんに激流の中で漕いでもらうためには、
2.曲がるにしても滑らかなカーブを描くようなライン。
3.波やバックウォッシュ(外からの力)を、なるべく正面に近い向きで、受けるようなライン。
を作る必要があります。
そのために「微妙な角度調整(繊細な技術)」と「より強いパワー」の両方が必要となってくるのです。
この2つのどちらか一つでも欠けてしまうと・・・。
ボートは暴走状態に陥ってしまいます(笑)
次回はそんな「暴走状態」に陥ってしまった私の失敗例を紹介します♪
成功すると気持ちいい♪ しかし、そのためには色々と気を付けなければいけないことは沢山です(笑)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません