「漕がせること」のリスク~その3~

2019年7月31日

前回の記事(「漕がせること」のリスク~その2~ )では、ラフティングツアーでの、お客さんに「ガンガン漕いでもらうスタイル」において、

『その操作には、より繊細な技術と、より強いパワーが必要となってきます』と説明し、「なぜ繊細(細かい)操作が必要になってくるのか?」 その理由を書きました。

今回からは「なぜより強いパワーが必要になってくるのか?」 その理由を説明したいと思います。

まず、同じ激流での、「異なる2つのスタイル」の動画を見てください♪
どちらも私自身がガイドしてます。

まずが私が好む「ガンガン漕いでもらうスタイル」です。

↑ みんなで激流を全て漕いで下ってきました♪

では、次に「お客さんには、漕がずにロープに掴まってもらうスタイル」です。

この「大滝」という激流では、普段は「漕がせるスタイル」がほとんどなのですが、この日は「掴まってもらったほうが良い」と私自身が判断し、激流中はずっと掴まってもらいました。(その判断基準などはまた別の機会に♪)

この2つの動画。 違いが分かるでしょうか??

パっと見た感じでは「漕いでいるか、漕いでいないか」くらいしか分からないかもしれませんね。

しかし、実際に私がやっている事というのは、両者の間で大きな違いがあるのです!

まずは、一つ一つの波にボートがぶつかるときの角度です。

「ボートがスピードに乗り、川の流速よりも速ければ速いほど、その角度調整は細かく繊細なものとなる」ということは前回までの記事で説明しました。

⇒「漕がせること」のリスク~その2~

最初の動画では、ボートが流速(流れている水)よりもずっと速く進んでいるため、一つ一つの角度が小さくなっているのです。

それに比べ、2つ目の動画では、最初は漕いでもらいましたが、瀬に突入してからはお客さんは全く漕いでいません。ボートのスピードも1つ目の動画に比べると見た目にも遅いのは明らかです。

(2つの動画では、ほぼ同じ水量だったのですが、降下タイムでは2つ目のほうが最初の動画の時よりも3秒ほど遅いです)

2つ目の動画のボートスピードは、最初のほうは流速よりもちょっと速い程度でしたが、最後のほうは流速とほぼ同じ程度になっていたでしょう。

つまり「流れている水」と「ボート」が一体化して下ってきたとも言えます。

これは「水の流れ」に「ボートを乗せた」と言い換えることもできます。

基本的に「水の流れ」が自分のボートを進ませたい方向に流れているのであれば、その流れにボートを乗せてしまえば、それだけで、ボートは自動的に行きたい方法へ進んでくれます。

いったん「流れ」に乗せてしまえば、あとはその「流れ」からボートが外れないように「角度」と「スピード」を調節すればいいのです。

2つ目の動画で私がしていたのは、まさにこの事でした。

このスタイルの場合、角度調整の際に、ボートを動かすのは比較的簡単です。

ボートには自分以外には誰も力を加えている人がいないため、角度を変える際のパドルワークに力はそれほどいりません(といっても、それなりに使いますが・・・)

加えて、時間的余裕もあります。

ボートは「流れ」とほぼ同じスピードで下ってきているため、波に当たる時の角度調整も比較的余裕を持って行えますし、その角度自体も最初の動画に比べればシビアではなくなってくるのです。

2個めの動画の私のほうが、その動作自体が全体的に「ゆっくり」しているのが分かるでしょうか。

これは「使っているパワー」「角度の調整具合」「時間」の全てのおいても私自身に余裕があるためです。

「余裕」=「より安全」という見方も当然あります♪

しかし、これが「ガンガン漕がせるスタイル」になってくると話は別なのです。

すみません。長くなってきたので続きはまた次回ということで

ラフティング道

このスタイルでは「漕いで!」ではなく・・・「掴まって~!」と叫んでいます(笑)

ラフティング道

どちらのスタイルにも長所、短所があります♪

<→続きはこちらです>