『漕げる激流』?or『つかまらせる激流』??

2019年7月31日

前回までは、ラフティングツアーにおいて「ガンガン漕いでもらうスタイル」の長所と短所(リスク)について説明してきました。

今回からは、それとは違うスタイル(方法)である、

激流の中で「お客さんにつかまってもらう(しゃがんでもらう)スタイル」の長所と短所(リスク)について書いていきたいと思います♪

まずは最初に、この2つの異なるスタイルの使い分けをどうしているのか??

それを説明しましょう。(あくまでも私個人の見解です)

例のごとく、実際の動画を使って説明したいと思います。

まずはこちらの動画をご覧下さい。これは私がまだオーストラリアで働いていた時の映像です。

オーストラリアのTully川というところでのラフティングツアーの様子で、「アラームクロック」という激流です♪ ガイドは私です。

最初は、お客さんに漕いでもらっていましたが、激流に突入してからはロープに掴まってもらっています。

そして、次にこちらの動画。 これもやはり同じタリー川での動画。上のものと同じ日のツアーのものです。場所は違う激流です。

こちらは「ウェット&モイスティー」という激流です。

今度はお客さんに「ガンガン漕いでもらっています」 私の好きなスタイルです♪

さて、この2つの動画。

1つ目の動画ではお客さんに掴まってもらっていたのに、2つ目の動画では漕いでもらっています。

下ってきているボートのライン(通り道)はどちらも直線的です。

どちらの激流も高低差のある傾斜のきつい激流です。

さして、違いのないように思えるかもしれませんね。

では、なぜ私は違うスタイルを使ったのでしょうか????

答えは最初の動画の激流「アラームクロック」での、取るべき「ライン(ボートの通り道)」というものが、次の動画の激流「ウェット&モイスティー」のものよりも複雑だからなのです。

それに加えて、そのラインにボートを進ませる際に利用する「水の流れ」というものの、幅が非常に狭いのです。

この「アラームクロック」では、ボートの横幅とほぼ同じです。 ちょっとでもボートが横にずれてしまうとたちまち「ライン」を外れてしまうのです。

ちょっと分かり難いですね(汗)

頭の中で、「水の流れ」というものを「ベルトコンベアー」と置き換えて考えてみてください。 

川の中には沢山の無数の「ベルトコンベアー」が存在するのです。

向かっていく方向も色々です。

ある「ベルトコンベアー」は真っ直ぐに下流に伸びていますが、あるものは蛇行していたり、岩にぶつかっていたり、もしくは他の「ベルトコンベアー」と合流していたり・・・。

速さも様々ですし、その幅も様々です。

幅の広い「ベルトコンベアー」は、それ1本でそのまま川幅一杯に広がっていることもあります。

ガイドにとって1番ありがたいのは、「幅の広いもの、そして自分の目的地に向かっていくベルトコンベアー」です!

幅が広ければ、多少ボートが横にずれても大した問題にはなりません。それに乗ってしまえば、あとは簡単に(自動で?)目的地へとボートを運んでもらえます♪

扱いにくいのは「最終的に目的地には向かっているが、カーブの厳しい、さらに幅の狭いベルトコンベアー」です。

この類の「ベルトコンベアー」の場合、操作を誤ってしまうと・・・

1.カーブのところや幅の狭い箇所で、ボートが「ベルトコンベアー」からはみ出てしまう
2.もしくは完全に「ベルトコンベアー」から外れてしまう

といった状況に陥ります。

「お客さんにガンガン漕いでもらうスタイル」の場合、そいうったリスクがより高まってしまうのです。

そうなってしまったボートは・・・

制御困難、もしくは暴走状態に陥ります(笑)

こちらを参考にどうぞ⇒「暴走状態!! 」

そして、最悪なのは「絶対に行きたくない場所に向かっている、強くて速くて、さらに幅の広いベルトコンベアー」です。

そんなものに乗ってしまったら最後・・・脱出はかなり困難なものとなってしまいます。

1つ目の動画(アラームクロック)では、水量やお客さんのレベルによっては「漕がせるスタイル」でいくこともありますが、この日の状況では私は、

「今日のチームにとっては、この流れを漕がせるにはリスクが高いな」

「このチームにとっては、この流れは複雑なものだな・・・」

と判断し、ロープに掴まってもらうことにしたのです。
いろんな要素で、毎日変わってくるスタイル。 最優先はもちろん「安全」です♪

またまた長くなってしまったので次回に続きます(笑)

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