ラフティングで窒息??

2019年7月30日

回想記です♪(⇒過去記事はこちらです)

前回に引き続き、オーストラリアでのラフティングガイドになるためのトレーニングコースのときの話です。

第1週の3日目くらいからは、色々な激流でのスイムトレーニングが始まったのでした。

ボートで下りながら、主な激流に到着しては泳ぎ、またボートである程度下り、そしてまた泳ぐといった感じです。

泳ぐ激流というのは、全て「危ない」と言われている激流でした!

場合によっては、たった幅5メートルほどの流れを横切るだけのスイムだったりしますが、それがまたそう簡単ではないのです。

例えば、午前中の難所「シアター」という激流の出口付近の「フルストップ」という場所の、すぐ上流を泳いで渡る時です。

ここは岩の上から水中に飛び込めれば、スピードも付けやすく簡単なのですが、岩の後ろのエディーの中(水中の流れが止まっている場所です)から泳ぎ始めるので、なかなかスピードが付けられないのです。

しかも、泳ぎ始める場所のさらにたった5メートル下には「フルストップ」という約2メートルほどの落ち込みがありその正面に大きな岩があって、その下は完全なアンダーカットになっている恐ろしい場所なのです。

「アンダーカット」とは大きな岩や岩壁などの水面下にあるスペースのことで、ここに入り込んでしまうと脱出は極めて困難な場所です。

「よくそんなところでスイムトレーニングをさせていたな・・・」

という感じでしたが、

私達はトレーニングコース受講前に「死んでも構いません!」という書類にサインしていたので、インストラクター達もそれほど気にしていなかったのでしょう!!

というのは冗談ですが(笑)、実際のところはインストラクター達もそこまで深刻には捉えていなかったというのが実情だったと思います。

ただ、そこは危険な場所なので、私達トレーニング生にも「ある程度」身を持って経験させておこうという意図だったと思います

(私達がトレーニングコースを受けた時点での、そのフルストップ付近での「死亡事故」は1件でした。しかし、その後、そこでは3件もの「死亡事故」が起きてしまったのです。

このようなリスクの伴うトレーニング方法というのは賛否両論あると思いますが、ガイドが危険な場所、危険な状況というのを身を持って経験しておくというのは、実際のレスキューの現場においてはと非常に役立つものであると個人的には思っています。

やはり、体験しているのと、ただの知識として「知っている」だけとでは、天と地ほどの差があるのです。

もっとも、それで命を落としては意味はありませんが・・・。難しいところですね)

 

そのたった幅5メートルを泳ぎきれたのは全体の半分くらいだったと思います。

あとは当然、その下の落ち込みへと流されて行きました・・。

トレーニング生が交代でレスキューロープを持ち、泳ぎきれなかった人たちにロープを投げていたのですが、

しょせんトレーニング生です

投げるのも下手くそなのでした(笑)

みんな外しまくりです!

やっと届いたと思ったら時既に遅し。

ロープを掴んだ人の目の前には落ち込みが迫っています・・・。

その人はロープを掴みながら落ち込みを落ちてしまいました。しかも落ちた後もまだ必死につかまっています。

ロープを投げた人も、上流からそれを必死に引っ張っているのです。

するとどうなるか。

ロープには強いテンションがかかり、落ち込みを流されてもロープを掴んでいる人は水中に沈んだ状態で浮かび上がれなくなってしまうのです。

ロープをすぐに離してしまえばいいだけの話ですが、ロープを投げた人も、激流で掴んでいる人もそれ以上流されたら危ないという事しか頭にないので、必死に耐えているのです。

これには、見てた私達もインストラクター達もビックリしました!

インスタラクターの一人が、

「ロープを離せ!!!」と大声で叫んで、ようやく投げた人がロープを離し、そのまま下流に流されていったのでした。

あとで聞いたところによると、ロープを離さなかったのは

「ロープを離さなかったのは、離したらヘタしたら死んでしまうと思ったから」

だったそうです。

離さなかったらそのまま窒息してしまうとは考えていなかったようです。

ピーターも冷たく一言

「YOU ARE CRAZY・・(お前らバカだな・・・)」

このトレーニングコース。今となってはいろんな意味で楽しい思い出です♪

$ラフティング道
(懐かしきタリー川。これはちょっと増水している時の下流域です♪)

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