失敗・・part2
回想記です♪(⇒過去記事はこちらです)
前回「失敗・・part1」の続きです。
午後のセクションの最初の激流「コークスクリュー」の入り口で、私の操作していたボートは大きなホールにハマり「サーフィン」してしまったのでした。
完全に私の不注意でした・・・。
その下流には流されると危ない箇所もあり、転覆だけはなんとしても避けたい場所だったのです。
もっとも、この時の私には、そこまでの認識はなく、
ただ単に「やってしまった! このままひっくり返ってしまうのかな」
「まあ、それならそれで仕方ないな・・・。とりあえず頑張ろう」
といった感じで頭の中で考えていたように思います。
しかし、私の横に座っていたガイドのTetsuさんの行動は違いました。
それまでは、ほとんど何もせず横に座っていただけのTestuさんでしたが、ボートがホールでサーフィンするやいなや、素早くボートを転覆させないように行動したのでした!!
具体的には「ハイサイド」という技術を使うのですが、ここでのサーフィンは本当に激しいので、ガイドは「自分の体をボートの外に投げ出すような激しいハイサイド」をする必要があるのです。
(⇒「ハイサイド」についてはこちらの記事を参照してください♪)
(こちらも⇒「渾身のハイサイド」)
Tetsuさんのおかげで、プラス他のガイドの助けもあり、ボートはなんとか転覆せずにそのホールから脱出することが出来ました。
お客さんは数名、ボートから投げ出され、そのまま激流を流されてしまいましたが、幸いにもケガはなく無事でした。
しかし、Tetsuさんはサーフィン中に新しく買ったばかりのスローバッグを失くしてしまいました。
スローバッグとは、レスキューに使うロープの入ったバッグのことです。ガイドは全員これを持っているのです。
バッグとロープで当時100オーストラリアドルくらいしました。価値的には1万円くらいでしょう。
Tetsuさんは、最初はそのスローバッグを手に持っていたらしいのですが、そのままでは転覆すると考え、スローバッグを捨て「ハイサイド」をしてくれていたのでした。
サーフィンから脱出したあと、Tetsuさんが
「最初はスローバッグを持っていたけど、転覆するよりはマシだと思って途中で捨てたよ」
と言ったのを聞いて、私は
「100ドルもするのに!しかも買ったばかりの新品なのに・・・。失くすくらいなら転覆くらいしてもよかったのに・・」
と考えていたのです。
当時の私はお金がなかったこともあり、
転覆させないために、100ドルもするスローバッグを「わざわざ捨てる」というTetsuさんの行為が理解出来なかったのです。
ここにお客さんの安全を第一としなければいけないリバーガイドとしての心構え、意識という点で、私とTetsuさんの間には「ものすごく大きな差」がありました。
ツアーが終わった後、川からボートを片づける倉庫まで、ガイドだけが乗るトラックで移動したのですが、その中で、あるオージーガイドが
「今日は危なかったな、keita.。 あそこでサーフィンすると、その下に流れが岩の間に流れている場所があって、転覆するとものすごく危ないんだ。もしかしたら人がそこに入ってしまう可能性もあるからな」
「Tetsuが助けてくれたおかげだな。今度から気をつけろよ」
ここで初めて事の重大さに私は気付いたのでした。
その後、お客さんと一緒にツアーの写真などを見る休憩所で、トイレに行くとTetsuさんがいたので、その横に私も立ち(連れション状態ですね・・・笑)
私 「Tetsuさん。今日は迷惑かけてスミマセンでした。今日の僕のガイドは全然ダメでしたね・・。スローバッグもスミマセンでした」
Tetsuさん 「スローバッグは仕方ないよ。あの場所でのサーフィンは良くなかったけど、それ以外はそんなに悪くなかったよ」
私はてっきりものすごく怒られるのだろうなと思っていたので、Tetsuさんの言葉はちょっと意外で驚いたのを覚えています。
まあ、Tetsuさんは私がちょっと落ち込んでいたのを察し、気を使ってくれたのかもしれませんが。
この時の「サーフィン」がいろんな意味で、私のトレーニング時代の最大の失敗、失態だったと思います。
技術はもちろん、「リバーガイドとしての心構え。意識」を身を持って知ることができました。
その事を教えてくれたTetsuさんには、本当に感謝ですね。
この日がある意味、私にとって「リバーガイドとしての」大きなターニングポイントになったことは確かです!
ちなみにこの「Tetsuさん」 まだ群馬県の水上のラフティング会社で、現在もリバーガイドとして活躍しています。(⇒CANYONSという会社です。ここはまるで外国にいるような雰囲気をもった会社です♪)
ラフティング以外の活動も行なっているようなので、川に出る機会はかなり少ないようですが、まだまだ「現役」です。
私も一般的には「いい歳」になってきているのですが、まだまだ「現役」でTetsuさんに負けないよう頑張って行きたいと考えています♪
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