「推進力」が無くなると・・・(リバーガイド編)

2019年8月20日

前回の続きです♪

最近は、リバーガイド(ラフティングのガイド)のトレーニング方法の一つとして、

「ガイド一人だけで、ラフティングのボートを操作する」という

「一人一艇トレーニング」を紹介しています。

ここまでの流れはこんな感じです。

視覚的に理解しやすいように、前回も載せた写真をもう一度載せておきます。

まずは、通常のラフティングではこんな感じですね♪

一方「一人一艇トレーニング」ではこうなります。

前回では、この2つの違いとして、

1 4つあった「ボートに影響を及ぼす力」が3つに減った。

2 「ボート+人」の重さが軽くなった。

と説明し、その影響として、

・「お客さんの漕ぎ」=「ボートに推進力を与える主な力」を失うということは・・・つまり 「ボートの推進力」が必要な場面において、それが得られない・・・

全て「ガイド一人」で行わなくてはいけない!!

 

・ボートの重さが軽くなるということは・・・つまり 「重さを失う」ということは「エネルギーを失う」ことでもある

⇒「ボートの重さが生み出すエネルギー」を利用できない!

⇒そして「ボートの性能、そのもの」が変わることにもなる

ということも説明しました。

 

では、今回からは、これらのことを一つ一つ簡単に説明していき、それにより、なぜこの「一人一艇トレーニング」を私が行なっているのかも合わせて説明していきたいと思います。

まず、最初の

「お客さんの漕ぎ」=「ボートに推進力を与える主な力」 を失うこと

についてです。

前回でも書きましたが、「お客さんの漕ぎ」がボートの「推進力の大部分」を生み出します。

「一人一艇トレーニング」では、半ば強制的にこの「推進力の大部分」を無くしてしまうことになります。

それによって、どのようなことが引き起こされるのでしょうか?

まずは、激流内での「ボートのスピード」が圧倒的に遅くなります!

これは当たり前ですね。

車でいえば「エンジン」を積んでいないようなものです(笑)

まあ、「自分自身」という「小さいエンジン」は積んでいますが、その力は「お客さんの漕ぎ」と比較すると微々たるものです。

激しい激流において、大きな波や「バックウォッシュ」と呼ばれる逆流を突破するためには、

ボートの「正しいアングル(角度)」 と 「スピード(推進力)」が必要となってきます。

しかし、実際には、その両方(アングル+スピード)を「完璧」にしなければ、突破できないほどの「大波」や「バックウォッシュ」というものは本当に稀です!

正確にいうと、たくさんあるのですが、通常のラフティングツアーをおこなっている川、激流、区間では、それほど多くはないのです。

まあ、全くないとは言いませんが、通常の水位であれば、本当に数えるくらいでしょう。

つまり、何が言いたいのかといいますと、

通常のラフティングツアーでは、例えボートのアングルが多少ズレていたとしても、その「失敗」を「ボートのスピード」が助けてくれていることが結構あるのです。

多少、ボートのアングルがずれていてもボートに充分なスピードが加わっていれば、ボートは波やバックウォッシュを乗り越えてしまうというわけなのです。
(正確には、ここで「ボートの重さ」も重要な要素となっているのですが、それはまた後ほど説明します)

少し、意地悪な言い方をすれば、「ガイドのミス」を「ボートのスピード」がカバーしてくれている・・とも言えるのです。

(※ただし、ラインは当然ズレてしまいます。「あらかじめ決められたラインを必ず通る」という条件下では、スピードが速いほうが、より繊細な角度調整が必要です)

そして、その逆もまたしかりです!!

たとえボートに充分なスピードがなくとも、波に当てる際の「ボートのアングル」が、『その波を越えるのに、完璧』であれば、それを超えられるケースも多いのです。
(もちろん、ダメなことも多々ありますが・・・笑)

こちらの場合は、かっこ良く言えば、

ボートのスピード不足を「ガイドの正確な技術」で補う!!

と言えるでしょう♪

もう、ここまで書けばお分かりだとは思います。

そうです。

この「一人一艇トレーニング」では、わざと「ボートのスピード(推進力)」を無くし、ガイドの「正確な角度調整」なしでは、上手く下れないような状況を作っているのです。

正確な細かい「アングル調整」が出来ないガイドのボートは、激流の中で自分の意思に反して、ボートがくるくる回ったり、ボート向きが左右に大きく揺さぶられることになります。

ある程度の大きさの波が続く激流で、「一人一艇トレーニング」で完璧なアングル操作を出来るようになれば、通常のラフティングにおいてのそれは本当に簡単になります。

もちろん、通常時ではボートの重さが違うので、実際のアングル操作における力の入れ具合などは全く異なってきます。

しかし、「一人一艇トレーニング」と同様の「繊細なアングル操作」「正確な角度調整」の感覚を発揮すれば、まず問題ないレベルに達することができると考えています。

長くなってきたので、また次回に続きます。

<→続きはこちらです>