カヤックでの失敗・・part2
前回(カヤックでの失敗・・・)の続きです♪
今からおよそ13年前。当時25歳だった私は、オーストラリア、ケアンズを流れるバロン川に、一人カヤックで漕ぎ出ました。
その日のバロン川は雨季の雨で大増水。普段の水量の推定100~200倍以上というものでした。
最初は絶対に下るのは不可能、無理と思った激流でも、40分くらい眺めているうちに「なんとか、行けるんじゃないか」と思ってきてしまったのです。
そうなると、もうダメでした(笑)
今だったら、妻も息子もいる身なので、彼らのことを考えて踏みとどまるでしょうが、当時はまだ独身の25歳!
少しでも「行けるんじゃないか・・」と思い始めたらもう止まりませんでした。
それまでは、なんとなく「もし、これを下るならどうするかな・・・」という感じで見ていた激流でしたが、「今から下る!」と決めてからは真剣そのものです!!
どこを、どう通ればいいのか・・・。
万が一失敗しても、リスクの少ないラインはどこか・・・。
と考えます。
しかし、激流の全ては川岸からは見えません。実際のところどうなっているのか分からないことのほうが多いのです。
最後には「なんとかなるだろ!」という結論に達し、ついにカヤックに乗り込み未知の水量のバロン川に漕ぎ出ました。
一旦、川に入ってしまうと、もうあっという間です!激流が次から次へとやってきます。
というか川全体が巨大な1つの激流なのです。
バロン川は、通常は激流がしばらく続いたら、その後は流れが穏やかな場所(プールと言います)があって、激流⇒プール⇒激流⇒プール・・・といった感じになってます。
しかし、そのときは水量が多すぎて川幅全体、川全部が1つの激流だったのです。
そして、1つ1つの波が大きすぎるので、その波の向こう側が全く見えません。視界がほぼ無い状態です・・・・
あるのは、目の前の巨大な水の壁!
3メートル?4メートル?
その高さは部屋の天井をゆうに越す高さです。
カヤックでその波の頂点に行った時一瞬下流の景色が見えるので、その瞬間にラインを判断し、また巨大な波の底に落ちていく・・・というくり返しでした。
最初の2~3分程度は、波やホールに翻弄されながらも、なんとか下っていけました。
そして、激流の感じをつかめてきて「よっしゃー、いい感じだ!」と思って、巨大な波の頂点にさしかかった瞬間。
私の目の前には、さらに巨大なホール、巨大なバックウォッシュが広がっていました・・・・
「ホール」とは、落差のあるところに出来る「バックウォッシュ(逆流)」を伴った落ち込みのことです。
⇒こちらの記事で「ホール」「バックウォッシュ」の説明をしてます♪
もうどうしようもありません。
ホール自体を避けるのも間に合いませんし、バックウォッシュを漕ぎ抜けるのも、それ自体があまりにも大きすぎて不可能です・・・
この時の心境というものをあえて表現するなら・・
まさに絶望感そのもの・・
「どうしよう・・・」
しかし、その次の瞬間には
「やるしかない!」
この時間、コンマ何秒の世界です。
その状況で、私に残された道はただ1つ。
そのまま、「バックウォッシュの下に向かって突っ込む!」というものだけでした。
バロン川での通常水位のホールでしたら、そのままスピードをつけてバックウォッシュの上の部分に乗っかる感じで漕ぎ続ければ、だいたいのケースでは大丈夫です。
しかし、今回のように、あまりにも大きいホールの場合にはバックウォッシュが大きすぎて、さらにそのパワーを強すぎて、上記のような方法で漕ぎ抜けるのはまず不可能なのです。
そのようなときは、スピードを目一杯つけて、バックウォッシュの一番「下」。ようするに自らバックウォッシュの壁に向かって突き刺さるような方法をとるしかありません。
上手くいけば潜水艦のように水中を通ってホールの下流側に抜けられるのです。
私がとっさに選択した方法がこれでした。
とりあえず最後の瞬間まで漕ぎ続けスピードをつけ、バックウォッシュにぶつかる瞬間に身を低くして突っ込む!
上半身をカヤックに覆いかぶさるように低くすることにより、貫通力を高めることが出来るのです。
その時の気持ちは・・
「頼むー!突き抜けてくれ~!」
突っ込んだ瞬間、視界はゼロ!
雨季のバロン川の水はまっ茶色のコーヒー色でほとんどなにも見えないのです。
次の瞬間。耳元で、
「ズボッ!!」という音??感触??がありました。
「何だ?」
という感じでまた続きます
雨季のバロン川の色。茶色です♪ でも水は温かい♪
<→続きはこちらです>
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