ラフティングにおいてラップ(Wrap)が起こる原因の一例

2019年8月30日

前回の記事ではボートが岩などの障害物に張り付いてしまうラップ(wrap)について説明しました。

↓こんな状態のことを言います

(photographer 柏倉陽介さん撮影)

↓もしくはこんな状態

では、今回はこのラップが起こる原因を簡単に説明してきたいと思います♪

今回はちょっと理屈っぽい内容です・・すみません

まず、その前に「ボートが岩などの障害物に当たって転覆する」ときの順序をおさらいしときます。(詳しくはこの記事を参考にしてください♪)

  1. ボートが岩に当たりその場に止まってしまう
  2. その止まったボートに水流が当たることにより、ボートは岩と流れによって板挟みの状態になる
  3. ボートは水に押され続けることにより、「ボート自身の逃げ場」を求め、岩の上のほうに持ち上げられる
  4. 持ち上げられたボートの角度は徐々に90度に近づいていく
  5. ある段階を過ぎると一気に転覆へ

 

ここで、通常このボートに乗っている選手たちは、転覆させたくありませんから(当たり前です)、当然それを阻止しようとします。

ハイサイドという技術を使うわけです。具体的にはボートがそれ以上傾かないように、傾いているボートの片側(上部)に思いっきり体重をかけます。
(ハイサイドについてはこちらの記事を参照♪ ⇒ハイサイド/⇒渾身のハイサイド!

「ハイサイドによる押さえこみの力」が「ボートが上方に逃げる(持ち上げられる)力」よりも強ければ、ボートは元の状態に戻り転覆せずに済みます。

「ハイサイドによる押さえこみの力」 > 「ボートが逃げる力」
の図式のときです。(実際にはこれを素早く行う必要があります♪)

では、もしこれが両方同じ力関係であったなら・・つまり

「ハイサイドによる押さえこみの力」 = 「ボートが逃げる力」

という関係であったら、どうなるでしょうか?

当然ボートはほとんど動きません。この状態が前回の記事で、

「このボート自身の逃げるという動きが何らかの力によって妨げられてしまうと、ボートは逃げ場を失ってしまいます。」

と説明したことなのです。

そして、ななめに傾いてしまった状態で静止したボートには、上流から当たってくる水流により、その内部に大量の水が流れ込んできます。

その内部に流れ込んでくる水の力によってボートが障害物に張り付いてしまうのです。

ようするに一方は大きな岩などの障害物によって押さえられ、もう一方は強い水流によって押され続け、ボートは微動だにしない状態になってしまいます。さらに内部は大量の水が入ってしまっているので、ボート自体の重さがものすごく増えている状態です。

重いということはそれだけ動きにくいということです。

これでラップ(wrap)の完成となります。

↓もう一度このラップしてる写真を見てみてください。内部に大量の水が入ってます


ラップに至るまでの過程
を順序別に追っていくとこんなかんじです。

  1. ボートが岩に当たりその場に止まってしまう
  2. その止まったボートに水流が当たることにより、ボートは岩と流れによって板挟みの状態になる
  3. ボートは水に押され続けることにより、「ボート自身の逃げ場」を求め、岩の上のほうに持ち上げられる
  4. それを押さえこもうとする力(もしくはそれと同じ効果をする要素)により、ボートは傾いた状態で静止する
  5. そこに大量の水が内部に流れ込んでくる
  6. ボートの内部がほぼ水で満たされる
  7. ボートが障害物に完全に張り付く⇒ラップ!

 

今回、紹介した画像のケースは、あくまでもラップが起こる原因の一例です。

重要なのは上記の4の部分です。
「それを押さえこもうとする力(もしくはそれと同じ効果をする要素)により、ボートは傾いた状態で静止する」

ここがボートがラップする最大の要因となります。
ここで言う「押さえ込む力(それと同じ効果をする要素)」というものは例えば

・人によるハイサイド
・ボートが当たっている障害物(岩など)の形状
・その障害物との摩擦力
・ボートに乗っている人(荷物)の重さ=重力

などなどです

実際の川の現場では、他の理由でラップすることもあります。
このラップについては次回以降ももう少し説明していきたいと思います。
<→続きはこちらです>