理想の漕ぎは「アメンボのエネルギー加算型」!?(レースラフティング)

2019年8月23日

「アメンボ」シリーズのpart3です。けっこう長い記事となっています・・・

水面を素早く移動するアメンボの凄さを書いています(笑)

この「アメンボの凄さ」とは、カーブを含めた前進時における運動エネルギーの扱い方にあります(*^_^*)

またレースラフティングにおける「運動エネルギー」シリーズの”締め”として書いています♪

下記の記事も参考に読んで頂ければと思います。

 

前回の記事では、現在よく使われているラフティングの技術(キャッチ&ラダー)とアメンボの動きの”違い”について書いたところでした。

今回はもう少し詳しく説明していきます。

まずは、レースラフティングにおいて、今現在、多くのチーム(人達)がカーブの内側にて使っている「キャッチ」や「ラダー」のイメージ図です。

⬇の図は前回の記事でも使用したものです。

 

左の図が、ゲートをカーブしながら通過している時の、外側と内側の「力の流れ」を簡単に表わしています。

そして、右の図は、外側で作った力Aを2つの力に分解したものです。

さらに、下の図。

 

これはボートのスピード(=運動エネルギーとも言えます)を維持しながらも、上手くカービングを行うためにやっていることです。

つまり、「元々ボートにあった運動エネルギー」をなるべく無くさないようにしつつ、ボートをカーブさせようとしているわけです。

赤字で強調して書いたので、もうお分かりでしょう(笑)

そうです。

この方法だと、主に「なるべくスピードを落とさない」ということが目的となっているのです。

必ずしもこうなっているというものではありません。しかし、ほとんどのチーム(人達)は、このようなケースになっているのがほとんどでしょう

 

つまり、こういうイメージです。
図はボートの外側から与えられた力(1と2に分解)を表したものです。
↓ ↓ ↓

図において、緑の文字で記したように、今現在、多くのチーム(人達)がカーブの内側にて使っている「キャッチ」や「ラダー」というものは「ボートの回転運動に対しては変化を与えているが、前に進ませる力には何もしていない」というケースが多いと思います。

 

別の言い方をすれば

「回転慣性をおさえるのに精一杯で、ボートを更に前に進ませる力は生み出していない」

という事です。

では、一方、今回の主役であるアメンボはどうでしょうか??

まず、今回もアメンボの動きの動画を紹介しておきます。

スロー動画はこちら ⇒アメンボの泳ぎ方|NHK for School

この違いが分かりますか???

アメンボの足の軌道はこうなっています!

 

前回も書きましたが、アメンボの内側の足の向きは、ほぼ後方に向かって蹴っています!!

進行方向に対して、前に進むように蹴っているわけです。

つまり、アメンボの場合、内側で作っている力は、アメンボ自身の進行方向に対して、”ほぼ同一方向”となっているのです!

”ほぼ”と書いたのは、正確に言えば、おそらく違うからです。

私自身も、アメンボで実際に実験したわけではないので、確証はないのですが・・・・

映像から判断すると、アメンボは右に曲がる際に、まず左足(真ん中の)で自らの体を「右斜め前方」の方向に蹴ります。

そして、タイミング的にほんの僅か遅れて右足(後ろ)で、蹴り返しているのです。

このタイミングの差は本当に刹那的なものです。

もしくはタイミングはほぼ同じでも、足で水面を蹴る強弱で、このような動きをしている場合もあるかもしれませんね。

ここで、重要な事は

右足で蹴り返すことにより、カービングの回転慣性を調節すると共に、さらに自らの体を前に進めている! という点です。

つまりこういうイメージです。

 

この図と、上のラフティングにおける「キャッチ」での図を比較してみてください。

 

 

これは、ものすごく大きな違いとなります!!

アメンボは、右に曲がる際に、右足でその回転具合を決め、さらに新たな推進力を生み出しているのです!!

ラフティングにおけるカーブの内側での「キャッチ」「ラダー」が、”エネルギー維持型”とすれば、

アメンボの足の動きは、”エネルギー加算型”と言えるわけです。

 

レースラフティングにおいて、こんな”エネルギー加算型”のほうが、断然有利なのは明白ですね♪

アメンボはスゴイ!というわけなのです(笑)

と、ここまで偉そうに書いていますが、この”エネルギー加算型”のパドリング。一人乗りのカヤックやダッキー、カヌーなどでは「ごく普通に」行われている類のものです(笑)

じゃあ、なぜレースラフティングにおいて、これを実践するチーム&人がほとんどいないのでしょうか??

次回は、この辺のことも含め、もう少し説明をいれて、いよいよこの「レースラフティングにおける運動エネルギー」の最終回としたいと思います。

<→続きはこちらです>