最強・最速「エネルギー加算型」を目指す為には?(レースラフティングで)

2019年8月26日

長い間書いてきたレースラフティングにおける「運動エネルギー」の記事も今回でいよいよ最後です♪

最後ということで、今回も非常に長い記事になってしまいました。

このシリーズの”締め”として、ラフトと同じく水面上を動く「アメンボ」の動きを参考に、”理想的(であろう)”運動エネルギーの「流れ」「使い方」というものを書いてきています。(あくまでも個人的意見です!)

「アメンボシリーズ」に関してのここまでの流れです(かなり専門的な内容となっています)

  1. 理想は「アメンボ」の動き!(レースラフティング)
  2. アメンボの足に注目!(レースラフティング)
  3. 理想の漕ぎは「アメンボのエネルギー加算型」!?(レースラフティング)
  4. 「エネルギー維持型」と「エネルギー加算型」の違い!手本はアメンボ♪

関連したテーマ「運動エネルギー」「レースラフティングの可能性」については以下の記事も参考にして見て下さいm(__)m

前回の記事で、”その箱を指を使って前に押していく”というシチュエーションで、「エネルギー維持型」「エネルギー加算型」の例を挙げました。

アメンボのような「エネルギー加算型」の進み方であれば、

自身が発揮している力(エネルギー)のより大きな部分を、”前に進む”という事に使えるので、より速い移動が可能となってくるのです。

またアメンボのような「エネルギー加算型」の進み方であれば、単純な直線運動だけでなく、カーブなどにおいても、その力を発揮するタイミングやバランスを変えることにより、変幻自在にコースを変えることが出来ます。

実際にアメンボが泳ぐ様子のスロー動画はこちら ⇒アメンボの泳ぎ方|NHK for School

では、このような「エネルギー加算型」の動きをレースラフティングにおけるカーブで実践するにはどうすればいいのでしょうか?

これは説明するまでもなく簡単です!

というか説明するのは簡単です(笑)

単純にアメンボと同じような動きをすればいいのですね♪
(まあ、これも数多くある方法の一つなのでしょうが・・・)

カーブの内側方向に回転してくる”ボートの回転慣性”を調節しつつ、ボートを前に進ませるように漕げばいいのです!

つまりこんな感じとなります。

オレンジ色の棒線が、「パドルのブレード」を表し、矢印がその軌道を表わしています。

ボートがカーブの内側にどんどん入ってくるのを、逆に外側方向に押し返す、押し出す・・という感じになります。

(この図はあくまでも単純なイメージですので、実際のパドルの向き、軌道はその状況によって若干変わってきます)

以前、載せた従来行われている「エネルギー維持型」のイメージ図と比較してみましょう。

こちらがその図です。

まず、パドルの軌道が全然違いますね。

維持型の場合は、パドルをラフトの方向に「引き寄せる方向」で力が入っています。

一方、加算型の場合は、パドルはラフトから「やや斜め後方に離れる方向」で力が加えられているのです。

この時の力の入れ方を選手が使うような言葉で表現すると、

維持型の場合は「ゲートから離れないように引き寄せる」

加算型の場合は「ボートをゲートの向こう側に押し出す」となります。

”引き寄せる”と”押し出す”

なんだか「正反対」のような印象ですね(笑)

そして、さらに「ボートに対するエネルギーの関わり方」というのが全く異なります!

上の2つの図を並べてみます。

この図は、ボートの内側後ろのほうに座っている選手の「ボートに対するエネルギーの関わり方」を比較したものとなります。

右のエネルギー維持型の場合は、ボートの回転慣性の調節にほぼ全精力を傾けているという場合ですね。
(結果として、ボート全体の運動エネルギーの調節にも繋がるのですが・・・・)

このときの、この選手のボートに対して影響を与えている力(エネルギー)というものは、”ボートの部分的”なものとなります。

この場合はボートの後ろ部分ですね。

しかも、それはボートの進行方向に対して「横向き」となっていることが多いです。

 

一方、エネルギー加算型の場合は、この選手がボートに影響を与えている力(エネルギー)というものは、”ボート全体”となるのです!
(勿論、選手がその動きを意図する・・という前提があっての事ですが)

そして、その方向はボートの進行方向に近くなっています!

維持型の場合は、進行方向に対し横向きで、しかもボートの部分的。

加算型(アメンボ)の場合は、進行方向に近く、しかもボート全体に影響を及ぼす。

この違いは大きいです。

この”エネルギーの動き”を極端なイメージ図にするとこんな感じですね。

エネルギー維持型はこちら。

外側Aの力に対し、内側Bがその回転慣性の調節のみに影響をおよぼしているとしたら、その合力は「Aが進行方向に進む力」以上には成り得ません。

そしてエネルギー加算型はこちら。

AとB、両方のエネルギーが回転慣性はもちろんのこと、前に進むという力にも影響を及ぼしているため、その合力は「A+B」となるのです!

この”違い”を数字で表現すると、同じ「10という答え」を導き出すのに、

維持型の場合、 ”15-5=10” としているのを

加算型の場合は、 ”5+5=10” としているような感じですね♪

答えは一緒でも。そこに至る過程が全くことなってくるということです。

上でも書きましたが、説明は簡単です。

しかし、この理論を実際のレースラフティングで実践するとなると・・・・・。

簡単ではないです(笑)

これを実践するには、色々な問題があります。

まず、ラフトは重いのです!!

アメンボ自身の重さに対する、アメンボの水を蹴る力に比べ、ラフトの重さに対する、我々選手のパドルを漕ぐ力というのは、おそらく比較にならないくらいアメンボのほうが強いでしょう!

これに対する対応策としては、まずは、選手が使うパドルのブレードをもっと大きくするというのがあると思います。

これについてはこちらの記事で書いていますので良かったらどうぞ⇒可能性(パドルの大きさ!?)

しかし、その大きなパドル、そしてエネルギーを扱えるための強靭なフィジカル(筋力&筋持久力)が当然必要となってきます。

特に、激流中のゲート際などでの、不十分な体勢からでも発揮できる筋力的フィジカルです。

今、この文章を偉そうに書いている私も、これをラフトで完璧に実践するだけのフィジカルはとてもありませんね・・・。

ボートが軽いR4(4人乗り)のときには、まだ「実践できた!!」と感じた状況もありましたが、より重たくなるR6(6人乗り)のときには実践できた感覚はほとんどありませんでした。

現役時代には(あ、今も”現役”でした♪)、これを実践するための筋力を得ようと必死に筋トレをしましたが、自分の求める領域には程遠いものだったというのが本音です。

まあ、もちろん今からでも目指すことは可能ですけど(笑)

あとは、”意識的な問題”でしょうか??

現状では、ほとんどのチームは、なんとかボートの回転慣性を制御して、スピードを落とさないようにしているケースがほとんどです。

実際には、これさえもかなり難しい高等技術&相当なフィジカルが必要となってくるので、これを上手く出来ているチームは世界大会でも上位に入ってくるチームでしょう。

つまり、この段階である意味”精一杯”なのです。

意識的にもフィジカル的にもです。

それでも、もし圧倒的なフィジカルを持ち、この意識を持っている選手がいるとすれば、ごく自然な感覚で、このエネルギー加算型の漕ぎをしてくるのではないでしょうか??

カヤックやカヌー、ダッキーなど、ラフトに比べ圧倒的に軽い乗り物で普段から自然と行っているように。(だから決して新しい理論でもなく、まして特別なものでも何でもないのです)

レースラフティングにおける、このアメンボのようなエネルギー加算型の漕ぎ。

いつかチームとして高いレベルで実践してくる人達は現れるのでしょうか??

非常に楽しみです♪

まあ、しつこいようですが、これは本当にあくまでも私個人の考え&意見なので、本当に「可能性(妄想)」という領域の話です(笑)

というわけで、一応、今回をもって長らく書いてきた「レースラフティンにおける運動エネルギー」シリーズは終了です!

いや~本当に長かったですね。

当初はほんの軽く書くつもりだったのですが・・・・。

読んで頂いた方々の中には、「意味がわからない」「それは違う」という感想を持った方もいるかもしれませんね。

まあ、その辺は”個人的意見”ということで、大目に見て頂けると助かりますm(_ _)m

それにしてもちょっと小難しい記事が続いたので、しばらくはこういった記事は止めようかな・・・と思っています(笑)

少なくとも今年一杯は書かない予定です(予定ですが・・・)

というわけで、ここまでこのシリーズを読んで頂いた方々。どうも有難うございました!