ラフティングはなぜ「インフレータブル」なのか?
今回も前回の続きです。
テーマはリバーガイド(ラフティングのガイド)のトレーニング方法である「一人一艇トレーニング」の紹介と説明です。
しかし、今現在、かなり長いものとなっていて、しかもちょっと脱線気味です(笑)
脱線気味ではありますが、このトレーニング方法の内容を理解するには必要な事でもありますので、よろしければ我慢して読んでみてくださいm(__)m
いつものように、ここまでの流れを載せておきます(かなり専門的な内容になっています・・)
- 「一人一艇トレーニング」
- 「一人一艇トレーニング」 では何が違う??
- 「推進力」が無くなると・・・
- 「推進力」がなくなると・・(その2)
- 失ってみて初めて気付く・・・・「お客さんの漕ぎの重要性」
- 確認です(一人一艇トレーニングの)
- ”重さ”というエネルギー
- ”重さ”というエネルギーが無くなると・・・
- 波の頂点における”重さ”の影響
- ラフティングボートは「インフレータブル」
- ラフティングにおける「ボートの剛性」
- “形状”と”剛性”
今回は、「なぜラフティングのボートはインフレータブルボートなのか?」ということです。
確認しておきますと、「インフレータブル」というのは、「空気で膨らますもの」という意味です。
前回の記事で書いたように、剛性を高くして操作性が増すなら「インフレータブル」ではなくて、もっと硬い素材でボートを作ってしまえば良いのではないか?
と思う方もいるでしょう。
その通りです!
もっと高度な操作性を求めて、もっとスピードを出すだけが目的ならば、そうするのがおそらく理想的でしょう♪
例えば、ラフティング競技では、当然「インフレータブルボート」を使っています。
しかし競技では、当然タイムを競うので、しかも、より高度の操作性が必要になってくるので、今のような「インフレータブルボート」ではなくて、もっと硬い(形状の変化しにくい)ボートを使うほうが、より競技性が高くなるの間違いないでしょう。
将来のオリンピック競技を目指し、そして世界大会なども盛んに行なっている競技で、「インフレータブルの道具」を使っているスポーツというのも珍しいのではないでしょうか?
競技性を高めるなら「インフレータブルボート」のような柔らかいボートではなく、より硬いボート(リジットボートと言います)を使うほうがいいでしょう。
そのほうが、より高度な技術が、より正確にボートの動き(挙動)に反映してくるからです。
ですから、もしラフティング競技というものが、今よりももっともっと発展し普及し、そしてその競技性も高まってくれば、将来的には、硬い素材で作られたボートを使うようにはなるかもしれませんね。
では、なぜ、ラフティングではそもそも「インフレータブルボート」を使用しているのでしょうか?? ってことなのですが・・・
結論から先に言ってしまいましょう!
これはボートの安定性が増すからです!!たぶん・・・(笑)
最初にラフティングのボートを発明した人に確認したわけではありませんし、確証があるわけでもないのですが・・・
おそらく合っています(笑)
なぜ、「インフレータブル」だとボートの安定性が増すのでしょうか??
それは「柔らかい」からです。
「柔らかい」ということは、外からの力を「吸収しやすい」、または「逃しやすい」とも言えます。
つまり、極端なことを言ってしまえば、
柔らかいボートは、転覆しにくい!! ということなのです。
これも極端な例で説明します♪
地面に、1本の細くて硬い木と、 同じく1本の細くて柔らかい草が生えています。
この2本を足で蹴ってみたらどうなるでしょうか?
細くて硬い木はおそらく簡単に折れてしまいます。しかし、細くて柔らかい草は、蹴られた後でも、そこにそのまま生えています。
木のほうは、外からの力をもろに受け、それに負けてしまいそのまま折れてしまいました。
一方、草のほうは、柔らかいので、外からの力をそのまま受け流し、自分が折れることはないのです。
この状況をそのまま激流の中のボートに当てはめます。
例えば同じボートでも、木で出来た”硬いボート”と、インフレータブル式の”柔らかいボート”の2つがあったとしましょう。
細くて硬い木が、木で出来た”硬いボート”であり、
細くて柔らかい草が、インフレータブル式の”柔らかいボート”です。
そして、”外からの力”というのは、”ボートを転覆させようとする力”です。
この場合、木の硬いボートでは、その”ボートを転覆させようとする力”をほぼ100%受けてしまい、簡単に転覆してしまいます。
(実際には、木にも弾力性があるので、正確に言うと”100%”ではないでしょう。あくまでも比較です)
一方、インフレータブル式の”柔らかいボート”では、その力を自らの本体に吸収したり、または別の方向に逃がしてしまうので、簡単には転覆しないということになるのです。
これは、同じラフティングのボートで考えてみても、同様のことが言えます。
再度確認しますが、あくまでも極端な例で説明します!!
ここに2つのボートがあります。
どちらもラフティングのボートです。
しかし、一方は空気がしっかり入っている為「比較的硬い」ボートです。
そして、もう一方は、空気があまり入っていないので、「柔らかいボート」です。
というかブヨブヨです。
この2つを、共に水に浮かべ、自力で転覆させようとしたら、どっちのほうが簡単でしょうか?
リバーガイドの方なら、おそらく簡単に分かるでしょう♪
これは、空気がしっかり入っている「比較的硬いボート」のほうが、圧倒的に簡単です。
ボートを転覆させようとする力が、きちんとボートに伝わるからです。
一方、空気があまり入っていないブヨブヨボートの場合は、自分のボートを転覆させようとする力が、ボートではなく、どこか違うところへ逃がされてしまう割合が多いので、これは大変です。
これは地面の上で行なっても同じことですね。
「転覆しにくい」ということは「安定している」とも言えるわけです。
つまりラフティングのボートでは、激流における安定性を向上させるために、わざと「インフレータブル」にしてあるのです。
これが、もし激流でなく、全くの静水でなら話は別となります。
静水においては、ラフティングボートを転覆させようとする力というのは、激流に比べれば圧倒的に少なくなるので、ボートは別にインフレータブルでなくともいいわけですから。
ラフティングのボートというものは、あくまでも”激流”での安定性を向上させるために、あえて「インフレータブル」にしたわけなのです♪
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