ラフティングはなぜ「インフレータブル」なのか?

2019年8月28日

今回も前回の続きです。

テーマはリバーガイド(ラフティングのガイド)のトレーニング方法である「一人一艇トレーニング」の紹介と説明です。

しかし、今現在、かなり長いものとなっていて、しかもちょっと脱線気味です(笑)
脱線気味ではありますが、このトレーニング方法の内容を理解するには必要な事でもありますので、よろしければ我慢して読んでみてくださいm(__)m

いつものように、ここまでの流れを載せておきます(かなり専門的な内容になっています・・)

今回は、「なぜラフティングのボートはインフレータブルボートなのか?」ということです。

確認しておきますと、「インフレータブル」というのは、「空気で膨らますもの」という意味です。

前回の記事で書いたように、剛性を高くして操作性が増すなら「インフレータブル」ではなくて、もっと硬い素材でボートを作ってしまえば良いのではないか?

と思う方もいるでしょう。

その通りです!

もっと高度な操作性を求めて、もっとスピードを出すだけが目的ならば、そうするのがおそらく理想的でしょう♪

例えば、ラフティング競技では、当然「インフレータブルボート」を使っています。

しかし競技では、当然タイムを競うので、しかも、より高度の操作性が必要になってくるので、今のような「インフレータブルボート」ではなくて、もっと硬い(形状の変化しにくい)ボートを使うほうが、より競技性が高くなるの間違いないでしょう。

将来のオリンピック競技を目指し、そして世界大会なども盛んに行なっている競技で、「インフレータブルの道具」を使っているスポーツというのも珍しいのではないでしょうか?

競技性を高めるなら「インフレータブルボート」のような柔らかいボートではなく、より硬いボート(リジットボートと言います)を使うほうがいいでしょう。

そのほうが、より高度な技術が、より正確にボートの動き(挙動)に反映してくるからです。

ですから、もしラフティング競技というものが、今よりももっともっと発展し普及し、そしてその競技性も高まってくれば、将来的には、硬い素材で作られたボートを使うようにはなるかもしれませんね。

では、なぜ、ラフティングではそもそも「インフレータブルボート」を使用しているのでしょうか?? ってことなのですが・・・

結論から先に言ってしまいましょう!

これはボートの安定性が増すからです!!たぶん・・・(笑)

最初にラフティングのボートを発明した人に確認したわけではありませんし、確証があるわけでもないのですが・・・

おそらく合っています(笑)

なぜ、「インフレータブル」だとボートの安定性が増すのでしょうか??

それは「柔らかい」からです。

「柔らかい」ということは、外からの力を「吸収しやすい」、または「逃しやすい」とも言えます。

つまり、極端なことを言ってしまえば、

柔らかいボートは、転覆しにくい!! ということなのです。

あくまでも「ボートの転覆」という物理的現象での話です。ここでは「ガイドの操作」という要素は除外してます。ですから、実際のラフティングツアーではまた違ったケースにも当然なります

 

これも極端な例で説明します♪

地面に、1本の細くて硬い木と、 同じく1本の細くて柔らかい草が生えています。

この2本を足で蹴ってみたらどうなるでしょうか?

細くて硬い木はおそらく簡単に折れてしまいます。しかし、細くて柔らかい草は、蹴られた後でも、そこにそのまま生えています。

木のほうは、外からの力をもろに受け、それに負けてしまいそのまま折れてしまいました。

一方、草のほうは、柔らかいので、外からの力をそのまま受け流し、自分が折れることはないのです。

この状況をそのまま激流の中のボートに当てはめます。

例えば同じボートでも、木で出来た”硬いボート”と、インフレータブル式の”柔らかいボート”の2つがあったとしましょう。

細くて硬い木が、木で出来た”硬いボート”であり、

細くて柔らかい草が、インフレータブル式の”柔らかいボート”です。

そして、”外からの力”というのは、”ボートを転覆させようとする力”です。

この場合、木の硬いボートでは、その”ボートを転覆させようとする力”をほぼ100%受けてしまい、簡単に転覆してしまいます。

(実際には、木にも弾力性があるので、正確に言うと”100%”ではないでしょう。あくまでも比較です)

一方、インフレータブル式の”柔らかいボート”では、その力を自らの本体に吸収したり、または別の方向に逃がしてしまうので、簡単には転覆しないということになるのです。

これは、同じラフティングのボートで考えてみても、同様のことが言えます。
再度確認しますが、あくまでも極端な例で説明します!!

ここに2つのボートがあります。

$ラフティング道
(空気がたくさん入っている比較的”硬い”ボート)

$ラフティング道
(空気があまり入っていない”柔らかい”ボート)

どちらもラフティングのボートです。

しかし、一方は空気がしっかり入っている為「比較的硬い」ボートです。

そして、もう一方は、空気があまり入っていないので、「柔らかいボート」です。

というかブヨブヨです。

この2つを、共に水に浮かべ、自力で転覆させようとしたら、どっちのほうが簡単でしょうか?

リバーガイドの方なら、おそらく簡単に分かるでしょう♪

これは、空気がしっかり入っている「比較的硬いボート」のほうが、圧倒的に簡単です。

ボートを転覆させようとする力が、きちんとボートに伝わるからです。

一方、空気があまり入っていないブヨブヨボートの場合は、自分のボートを転覆させようとする力が、ボートではなく、どこか違うところへ逃がされてしまう割合が多いので、これは大変です。

これは地面の上で行なっても同じことですね。

「転覆しにくい」ということは「安定している」とも言えるわけです。

 

つまりラフティングのボートでは、激流における安定性を向上させるために、わざと「インフレータブル」にしてあるのです。

これが、もし激流でなく、全くの静水でなら話は別となります。

静水においては、ラフティングボートを転覆させようとする力というのは、激流に比べれば圧倒的に少なくなるので、ボートは別にインフレータブルでなくともいいわけですから。

ラフティングのボートというものは、あくまでも”激流”での安定性を向上させるために、あえて「インフレータブル」にしたわけなのです♪

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