『しゃがませる』のメリット~その1~

2019年8月1日

前回の続きです(⇒『しゃがませる』⇒低重心(より安定) )

前回の記事では、ラフティングツアーにおいてお客さんに「しゃがんでもらう」をすることにより、、お客さん自身の安定性を増すの同時に、

1.ボート自体の重心を、より低くすることが可能となり、それにより
2.「ボート自体の安定性(転覆しないようにする可能性)」を向上させることが出来る。
と説明しました。

今回はその具体例を紹介します♪

場所はオーストラリアのタリー川。 「コークスクリュー」という激流です。

この日は水量が多く、いつもの状態よりも転覆しやすいものとなっていました。映像では「コークスクリュー」の最後の落ち込みの部分が映し出されています。

この落ち込み。ちょっと複雑な構造をしていて、「良い所」にボートを落とさないと、ホールのバックウォッシュや、もしくは違う方向から落ちてくる「流れ」によって、人が落ちたり、時にはボートごと転覆させられてしまう激流なのです。

「バックウォッシュ」についてはこちらの記事を参考にどうぞ♪ ⇒『なぜボートは転覆するのか? 』 

特にこの映像の日は水量が多く、その傾向がいつもにも増して強い状況でした(私はこの日働いていませんでしたが・・・笑)

そのため、ガイドはほぼ全員が、この落ち込みのところでは「しゃがんで!!」と指示をだしていました。

では映像をどうぞ♪

やや危ないボートもありましたが、この映像内のボートは全て「転覆せずに」通過しました!

これが「しゃがんで」を使わずに、ただの「つかまって」だったら、また結果は違ったものとなった可能性が高いです。

このように「しゃがんで」は、複雑な構造をしている激流(箇所)をボートが通過する際に、その効果を発揮します。

激流の複雑な構造って何?という方はこちらの記事も参考にどうぞ⇒『複雑な激流』とは??

その最大の理由は、何度も書いていますが、

お客さんを「ボート内にしゃがませる」ことにより、ボート全体の重心を低くして、左右からの力に対する安定性を増すことができるからなのです。

これがただの「つかまって」となると、お客さんはボートの上に座ってロープを掴まっているだけですので、ボート全体の重心は「しゃがんで」のものと比較すると、かなり高いものになってしまい、その結果「左右からの力」にはかなり弱いものとなってしまうのです。

つまり、「左右からの力」によって、簡単に重心が左右にブレてしまうということになります。

別の言い方をすれば、「つかまって」の状態だとお客さんの体はボートの上に座っている姿勢ですので、その体自体が左右にブレやすく、数人のお客さんがバランスを崩してボートの片側に寄ってしまうことで、それだけでボートが転覆する場合もあるのです。

 

このように書くと「しゃがんで」はとても万能のように思えるかもしれませんが、いくらボートの重心を低くしても、そのコースや角度が悪いと簡単に転覆してしまいます(笑)

こちらの映像。

同じタリー川での同じ激流。そして同じ日のものです。

同じ「しゃがんで」を使っていても、結果は大違いです♪

「しゃがんで」を使うことは、あくまでも「転覆しない可能性」を高めるだけであって、する時はしてしまうのです!

<→続きはこちらです>