5+5+5+5=10??
前回(数式によるラフティングチーム論)の続きです。
前回はレースラフティング(ラフティング競技)における『チームスポーツとしての難しさ』というもの説明してみました。
(2009年ボスニア世界大会)
これを今回はもっと分かりやすいように、簡単な数式で説明したいと思います♪
(逆に難しくなってしまったらごめんなさい・・)
「4人乗リでのラフティングチーム」を例にして考えることにしましょう。
まず個人の能力を単純に数字の1~5で表すとします。
1が能力の最小値。5が最大値とします。
各個人の最大パフォーマンスが5というわけです。 逆に1はその人の最低のパフォーマンスです。
実際には同じ数字であっても、各個人によって発揮できるパフォーマンス値というものは異なってきます。
例えば選手Aの最大パフォーマンス値5と選手Bの最大パフォーマンス値5は違うということです。
ただここでは簡単にするために、どの選手の数字も、同じ数値であれば同じパフォーマンス値とすることにします。
チームのトータルパフォーマンス値として最大の値は説明するまでもなく20ですね(笑)
5+5+5+5=20
ようするに、チームとしてはこの潜在的な最大パフォーマンス値の20を求めていくことになります。
では、全員が『各個人での最大値である5』を発揮すれば、トータルで20になるのかというと決してそうではないのです。
これは前回の記事でも触れました。
この理由を説明するのは、いろいろな要素がありすぎて、非常に難しいのですが・・・、
私なりになるべく簡単に説明したいと思います。
まず最大の理由は1つのボートに『複数の脳』が存在するということ(前回の記事を参考にしてください♪)
(脳がいっぱい)
さらに各個人の身体的な違い。
これが1つの大きな要素になってきます。
例えば、各個人の体重。腕のリーチ。脚の長さ。身長。座高。関節の可動範囲といったものです。
ラフトのボートというものは基本的に何も乗っていないカラの状態で、真後ろから真っ直ぐに押せば、真っ直ぐ進むように作られています。
(不良品で形が歪んでいるケースは例外)
これに2人の選手が乗るとどうなるでしょうか?
もし仮にこの二人が全く同じ体重で、左右対称に座っているのであり、後ろから真っ直ぐ押したのであれば、ボートは真っ直ぐ進むでしょう。(水面は波のない静水とします)
では2人が違う体重であったとして、真後ろから真っ直ぐボートを押した場合はどうなるでしょうか?
ボートは必ず曲がります!
ボートの構造上、必ずそうなってしまうのです。
もちろん体重差によって、曲がる程度も異なってくるのですが。
さらに例え体重が一緒であっても、腕のリーチが違っていたり、身長が違ってくると、実際に漕いでいる時の体勢やバランスも当然違ってきます。
そうすると、当然ボートにかかる重さのバランスも異なってくるので、そうなるとボートは基本的に『必ず曲がるボート』になっているわけです。
『必ず曲がるボート』を真っ直ぐ進ませようとするのですから大変です(笑)
通常、選手というのは『自分が最大パフォーマンスを発揮して、さらにボートを真っ直ぐ進ませる』という意識で漕いでいます。
ここにはボートに対し「最初から必ず曲がるボート」という意識は最初はあまりありません。
あくまでも「真っ直ぐ進むボート」に対し「真っ直ぐ進ませる漕ぎ」という意識なのです。
ここに「自分の意識」と「ボートに実際に現れる動き」のギャップが生じます。
練習を重ねていく上で、このギャップに気付き、チームとしてどう対処していくかという過程に移行していくわけですが・・・。
そして、この過程での道程というのは通常ものすごく長いものになるのです・・・笑
それまでは、ずっと
5+5+5+5=20・・・ではなく
5+5+5+5=17だったり、
5+5+5+5=15だったり、 ひどいときには
5+5+5+5=10 !? なんてこともあるのです。
レースラフティング(ラフティング競技)というチームスポーツにおいて単純な足し算計算は成り立ちません(笑)
むしろ、
「どれだけマイナス要素をなくしていくか」というケースの方が多いかもしれません!
逆に仮に
5+5+5+5=20を達成出来れば、チームとしてはかなり完成度の高いチームと言えるでしょう。
さらに、もし、「お互いの個の能力を相乗効果で倍増できるようなチーム力」 を手に入れることが出来れば・・。
例えば
全員が『各個人での最大値である5』を発揮して、トータルで20のチーム力!!だけでなく、さらにその上の段階・・
つまり各個人の最大値がさらにお互いに相乗効果を生み出し、最終的にトータル20以上・・例えば
5+5+5+5=25!!
別の表現をすれば
5×4=25
なんて事を実現できるようであれば・・・
それは多分
史上最高、史上最強のラフティングチームとなるでしょう!
(これはあくまでも私個人の考えです♫)
そこに辿り着く「道のり」は果てしなく長いのです! これはボスニアの川の路♪
「ラフティングチーム論」はもう少し続きます。
<→続きはこちらです>
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